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なぜ韓国サポーターは政治的な横断幕を掲げ、旭日旗に反発するのか?

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なぜ韓国サポーターは政治的な横断幕を掲げ、旭日旗に反発するのか?




日韓戦で破れられたタブー

 7月28日の東アジア杯の最終戦、日本代表-韓国代表。試合はザックジャパンの新戦力である柿谷曜一朗の2つのファインゴールが決まり、韓国代表も日本でもファンが多かったホン・ミョンボ新監督のもとに健闘を見せた。アジアの覇権を何十年も争ってきた両チームの伝統ある試合らしい白熱した好ゲームであった。

 しかしこの試合で、日韓の政治的なわだかまりをさらにエスカレートするような行為が、日韓双方の一部のサポーターから行われたことは各種の報道のとおりである。極めて残念なことである。

 韓国側からはゴール裏二階を完全に横断するほどの大きさの横断幕で『歴史を忘れた民族に未来はない』とのメッセージ。さらには試合開始直前には、韓国の英雄でもあり、伊藤博文の暗殺者である安重根と豊臣秀吉の朝鮮侵攻を撃退したとされている将軍の巨大な肖像幕が掲げられた。

 一方で日本のゴール裏では、巨大な旭日旗が翻った。韓国アウェイの日本代表戦で旭日旗がひるがえるのは自分の記憶ではない。これまで韓国戦での旭日旗の掲示は一種のタブーとなってきたからで、特に最近ではそのタブーを破ろうとする試みがあっても主催者判断で防がれてきたからだ。

 日韓それぞれのメディアでこれに関する情報が錯そうしているようなので、当事者や関係者へのインタビューも含めて現場での模様とこれに関するいくつかの情報をお伝えする。
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JFA管轄では禁止されている旭日旗

 まず日本の旭日旗。これまで日本サッカー協会の意向もあり、韓国戦でのスタジアム内への持込みや使用は事実上禁止となってきた。日本代表サポーター内でも、最近では自粛ムードが高まっていた。

 その背景サポーターには、2011年のアジアカップ日韓戦において、日本人を揶揄する行為をしたキ・ソンヨンが、その行為の理由としてスタジアムで旭日旗を見かけたのでその報復と証言(その後に撤回)、日韓の代表戦が政治問題化することを避けた判断があった。

 すでにJFAの試合運営管理規定では「政治・思想・宗教・軍事的な主義、主張、観念」を横断幕などにすることは禁止されている。なお本家FA(イングランドサッカー協会)のスタジアム安全規定でも、政治的・宗教的な主張をスタジアム周辺も含めて試合開催日に行うことは禁じられている。

 これにより日本のスタジアムでは、すでに「軍事的な主義・主張・観念」ということになり禁止行為となっているわけだが、問題は日本以外の主催試合で旭日旗が「政治的な主張」に該当するのかということになるだろう。

 この点、ACLにて日本のJリーグチームが過去旭日旗を韓国戦で掲揚した時のケースでもAFCの判断は特に下されていない。現在までのところ、試合主催チームや国の判断に委ねられているのだろう。


なぜ旭日旗を忌み嫌うのか

 筆者はこの旭日旗が日本ゴール裏に挙げられた日、試合前に韓国のサポーターグループ「レッドデビル」の会長にインタビューを試みていた。テーマは日韓のサッカーにまつわるナショナリズムの問題について。

 レッドデビル(韓国語で『プルグンアンマ』)は連合体で出来ていて、その連合体の統括役というバン・ウヨン氏は旭日旗について「あってはならないこと」と断言していた。

 以前からチャンスがあれば韓国のサポーターに説明したいと思っていたこともここで話してみた。すなわち、旭日旗は単なる軍旗で、旧日本軍が使っていたのは間違いないが、今でも自衛隊でも使っているし、日本では軍事的ではなく文化的なデザインとしても使われているのだが、それでもダメなのかということである。今になって自衛隊旗が批判されても日本人は納得しないだろう、とも。だが、返事はつれなかった。

「被害を受けた側と与えた側では感覚が違うのは当たり前だ。戦犯旗(旭日旗のこと)を見て、屈辱の歴史を思い出さない韓国人はいない」

 何人かの韓国サポーターにもこの旭日旗について聞いてみたが、口をそろえて同じ意見が出てくる。

 軍国主義日本を想起させるという主張では、ナチスドイツのハーケンクロイツ(鍵十字)が欧州でスタジアムはもとより日常のあらゆるところで法的に規制されていたり、そうでなくともタブーになっていることを引き合いに出されて論ぜられることがある。実際に韓国サポーターのひとりはそれを引き合いに出して日本サポーターを批判していた。

 だが、社会的タブーとなっているハーケンクロイツよりも、現在のドイツ軍が現在でも使用しているクロスアイアン(鉄十字)により事情が似ているかもしれない。おそらく、ドイツ代表の試合で、ポーランドやオーストリア、ましてやイスラエル相手にこのエンブレムをサポーターが掲げたら、かなりの問題になるに違いない。

 実際の軍関係者以外がこのクロスアイアンをかざしているというのは極右かネオナチとみなされても仕方ない。日本ではファッションや遊びでミリタリーは通用するが、これが世界に出ると極めて危険なふるまいとみなされることがある。

 おそらく韓国のサポーターがいう理屈の方が、感情的な問題で筋が通らないことかもしれないが、国際的にはフィットする主張だと思われる。いずれにせよ、トラブルになることを承知しながら挑発の意味で出すことは大人げないと言わざるを得ない。


いらぬ敵意を生んだある日本のサポーターの行為

 この旭日旗が掲示されたのはほんの数分。旗は数分でスタジアムのスタッフによって没収されることになったが、その旭日旗に気づいた韓国ゴール裏からは凄まじいブーイングが鳴り響いた。この数分の出来事が韓国メディアに大きく取り扱われている。日本はどこまで私たちを挑発すれば気が済むのかという論調である。

 この旭日旗を掲示したサポーターは「旭日旗は戦後、問題なく日本で使われてきたもので、最近になって問題になった。韓国からの抗議は知っているが、あえてそれに異議を唱えるためにやった。美しいデザインでチームの士気を高めるために行った」と語っている。

 だが、このように政治的に論議を呼びよせ、ピッチのみらならず相手国に対していらぬ敵意を呼び起こすことが本当に選手のためになったのか、本当にスポーツの応援としてふさわしい行為なのだろうか。

 煽り煽られて、スポーツの闘争心と敵意をコントロールしていくのがスポーツの本質である。国内で悪ふざけ程度の横断幕などに敏感に反応し、スタジアム出入禁止となるサポーターを見聞きするにつけ、ここまでやるのは大人げないのではないかという感想をもっている筆者にしても、ナショナルチームで政治的な議論を呼ぶような挑発行為は、本当に国同士のいざこざを招き寄せる危険な行為とみなさざるをえない。

 なお、試合後、このサポーターと代表ゴール裏のサポーター有志と話し合いが行われたことにも触れておこう。ウルトラス・ニッポンの植田朝日氏は、二階席で起こったこの「事件」について試合終了するまで知らなかったとのことだ。

「せっかくの喜ぶべき勝利が台無し」とコメントしているが、これは多くの日本代表サポーターと共有する感想であろう。今後、日本のサポーターの自浄作用に期待したい。


韓国の横断幕は自国代表へ向けたもの?

 韓国側では試合開始前から、大きな横断幕とビッグフラッグが二階席に設置されていた。そのメッセージがわからないように裏返されていたのだが、すでにこの東アジアカップの韓国女子代表の試合で、日本に対して韓国の文化財の返還を求める旨のメッセージの入った横断幕が韓国サッカー協会によって撤去されるという事件があったのは伝え聞いていたので、そういった内容のものではないかと推測も出来たが、まさか前回に禁止されていた政治的横断幕を今回も出すとは思えなかった。

 試合直前になって広げたビッグフラッグと横断幕は案の定であった。すぐにこれを取り下げさせようとする韓国サッカー協会の職員とサポーターによる小競り合いが起きた。すでに横断幕が撤去されることを防ぐために配置されていたと思われるサポーターが多数いて、職員は引きさがることになった。これに関しては、日本の大手新聞社が報じているように、韓国サッカー協会が黙認したというのは間違いである。

 なお、この横断幕のメッセージを見て、これは日本に向けての意味でもあるが、同時に韓国チームに向けてのものではないかという解釈が、とうの韓国の人たちからも出てきたということも報告しておこう。

 今、韓国代表の停滞ぶりは目もあてられないものであり、おまけに韓国代表のキ・ソンヨンによるネット上の監督批判(「SNS騒動」と呼ばれている)がチームの団結の無さを象徴しているということで批判を浴びている。

 昔日の献身的な努力と栄光の「歴史を忘れた民族」は韓国代表そのものなのではないか、ということらしい。確かにメッセージは日本語でも英語でもなく韓国語で書かれているので、日本のサポーター向けではないと勘ぐることもできよう。

 ただし、これはもちろん皮肉めいた解釈であり、言うまでもなくこの横断幕はピッチの勝敗に全く関係のない、日本という国と国民に向けての政治的メッセージであることは間違いないのだが。


理解しがたい韓国サポーターの応援拒否

 ハーフタイムになると、横断幕を守っていたかにみえたサポーターがいなくなった。サッカー協会の職員もすでに姿を現していないため、これは黙認ということかと残念に思っていたところで、数人のレッドデビルと思しきサポーターが現れ、幕を剥がし始めた。どうやら職員レベルではない注意か警告により、自主的な判断で掲出をやめたらしい。

 筆者はその後になって、韓国サッカー協会の指示で取り下げたこと、そしてそれに対する抗議として後半の応援をやめたことがレッドデビルの公式見解としてネットに流れたことを知った。

 応援の拒否まで知らなかったのは、韓国の応援スタイルが日本のようにコールリーダーが指揮して歌を出すのではなく、一般の人たちから自然発生にコールが出てくるためだ。その点で一見試合は後半に関しては平穏に行われたことになる。

 しかし、韓国は負けてはならないアジアの盟主をかけたダービーマッチに負けた。選手を奮い立たせるためでもない、試合に一切関係のない政治的なスローガンをあげ、それがダメだと言われれば応援を拒否するのは、いったいサッカーに何を期待しているのか理解不能である。

 ピッチの中で走る選手たちとともに戦うのがサポーターのはずだが、彼らはピッチの中に敵を見出してなかった。応援拒否など論外であり、サポーターの哲学からいえば、あれだけ後半押しつづけた試合展開ながら試合を決める1点を入れることができず、ロスタイムの柿谷の決勝点を許したのは、ピッチ外の出来事で応援を放棄し、本当に必要なメッセージを選手に力強く伝えることのできなかった一部の韓国サポーターの責任だ。

 8年ぶりにホームで宿敵日本に敗戦となった試合後、「歴史を忘れた民族に未来はない」とのメッセージを誰がかみしめなければならないかは説明するまでもないだろう。
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日本のサポーターが掲げた韓国への感謝の横断幕

 レッドデビルの会長のバン氏は韓国でも大手の保険会社に勤務しているという。41歳ということだが、もっと若く見える。日本のサポーターのイメージとはだいぶ違っていた。日韓W杯の時には日本のテレビにも日本のサポーターと一緒に出演したこともあるという。

 その彼は試合前のインタビューで、次のように語った。「日本人も日本も嫌いではない。私たちがいつも批判しているのは日本の政治家やナショナリストだ」と。キ・ソンヨンが日本人を馬鹿したそぶりをして問題になった一件もむしろキ・ソンヨンに対して否定的な反応である。

 ただし、日本とは政治でもサッカーでも譲れないものがある、と付け加えながら。そして実際にその譲れないものを数時間後のスタジアムで混同してしまった。

「サッカーと政治が別なものはよくわかっている。ただ感情の問題だから仕方ないものはあるのはわかってほしい。『嫌韓流』といわれる韓国を批判する書籍も韓国では知られているし、反韓デモが行われていることも知っている。日本に試合に行くと、ひどい言葉がわたしたち韓国サポーターに投げかけられていることも知っている」

 だが、これについては日本の一部のサポーターの旭日旗を挑発のために掲出するふるまいと等しく、私は賛同することができない。これをエスカレーションさせることが双方にメリットがあるとはとても思えない。むしろ、双方の憎しみから世の中に伝播するものこそを警戒するべきだ。

 試合終了後、日本のサポーターから東日本大震災の時の韓国からの支援に感謝を示す横断幕が掲げられていた。このことは、旭日旗と政治的横断幕の陰に隠れて全く報じられていない。様々な人々が様々な意見をもつのは当たり前のことだが、ネガティブなものをぶつけあっても何一つ得ることはないということを日韓双方のサポーターが理解するべきだと思う.。





http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20130730-00000006-footballc-socc


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